ITグローアップはこうして始まった
今から30年近く前から起業を考えていました。そのころの話から始まります。
私はベンダーSEで、システム開発プロジェクトのリーダーを務めていました。それほど大きなシステムではなかったので、少人数で経理システムを設計、開発をしていました。男ばかりのむさ苦しいチームに、新しく25歳の彼女が入ってきました。Fさん。明るくて、チャキチャキしていて、それでいてちょっとヒステリー。好き嫌いがはっきりしていて、前のプロジェクトでケンカして、そしてうちのプロジェクトに入ってきました。
最初のころは、初めての女性の部下ということもあり、どう接していいのかわからないことも多く、ぶつかりあうこともありました。でも二人の趣味が合っていて、音楽が好き、特にロックが好き、歌うことが好きで、彼女は澄んだハイトーンでプリンセスプリンセスを歌っていました。それから二人は本音で話せるようになりました。
そんな彼女はITスキルがとても高く、私が概要設計、基本設計をまとめれば、詳細設計をし、チェックや改変を行い、より優れたシステムを創り上げていきました。またプロジェクト進捗報告書を作成すれば、推敲や、データ追加など私が思い描く構想を、高いレベルで形にしてくれました。
私にとって彼女は、かけがえのないパートナーになりました。恋愛にはならなかったの?って。その時私は結婚しており、私の妻と彼女は友だちになっていました。
ある日のこと、客先から自社へ戻るエレベーターの中で彼女は私に、「ミヤちゃん、ミヤちゃんは社長になるといいよ。きっとなれるよ。そしたら私を雇ってね。なんでもするよ。」と突然言いました。「冗談言うなよ。」と照れ隠ししたものの、その時、私はなにか自分の中で宝物を見つけた気になりました。「社長になる。」それが私の夢になった瞬間です。
しかしながら、まだ子どもが幼く、大きなプロジェクトを任されるようになっていた私は、その夢を心の隅に置いて、目の前の仕事に没頭しました。
やがてFさんも結婚をして、それを機にプロジェクトを離れ、仕事も退職しました。
たまに連絡を取ったり、好きなアーティストのコンサートにいっしょに出掛けたりしたものの、少しずつ疎遠になっていきました。
多忙な日常の中、「社長になる夢」という宝物は、優先順位を下げられて部屋の隅でほこりをかぶるようになりました。
そんなある日、蒸し暑く、けだるい8月の夕方、、、Fさんの訃報が届きました。乳癌でした。まだ50歳、これからさらに大きく花開く人生だったはずなのに。私は呆然としました。身近な人の死に直面し、人生の儚さを思いました。どれだけ生きたいと思っていても、終わりはいつか来る。だから今を精一杯生きることの大切さを思いました。
子育てを終えて、一つの役割を終えたと感じた時、私は彼女がくれた宝物を再び開くことにしました。そして夢に向かって歩き始めました。
8月暑い日、ITグローアップは創業しました。
プリンセスプリンセスの”世界でいちばん熱い夏”をオープニングソングにし、19 Growing Upで私のステージは始まりました。このステージにFさんはいません。でも彼女の歌声は大きく響いています。
”それぞれのトレジャーアイランド ひとつずつ現実に変わってく 19 Growing Up!”
ITグローアップはお客様の変革と成長のために、新しい技術を提案し支援いたします
代表 宮川 竜治